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じぶんで整備

じぶんで整備:分からない締付トルクの決め方

締付トルクが分からないとき、どれくらいの値にしたらいいのか調べてみました


よくわからない締付トルクは「T系列」を参考にします

いきなり結論からいきます

この表の締付トルクを参考にするんですね

一般的な鉄鋼やステンレスのネジアルミ・銅・樹脂のネジ自動車などの特殊鋼のネジ部分特殊鋼のネジで摩擦接合する部分(自動車のホイール・鉄骨など)
対応する
JIS強度区分
4.6~6.8なし8.8~12.910.9~12.9
ねじ頭の刻印無印, 4, 68, 9, 10, 1210, 12

ねじ呼び径
(ほぼ直径)
T系列
[Nm]
0.5T系列
[Nm]
1.8T系列
[Nm]
2.4T系列
[Nm]
M10.001950.00980.0350.047
M20.1760.0880.3150.42
M30.630.3151.141.50
M41.50.752.73.6
M531.55.47.2
M65.22.69.212.2
M78.44.21520
M812.56.22229.5
M1024.512.54459
M12422176100
M146834122166
M1610653190255
M1814673270350
M20204102370490
M22282140500670
M24360180650860
詳細は東日トルクハンドブックを参照ください(こちらのデータは抜粋であり、用語や用途などこちらの解釈で書き換えてあります)

ときどき、頭に数字が刻印されてるネジがあるんです

それはネジの強度区分ですね。どの T系列 を使うのか目安になりますね


  • T系列・・・一般的な鉄鋼やステンレスのネジが使われているところは、この値を参考にします
  • 0.5T系列・・・アルミ・銅・黄銅(真鍮・ブラス)・プラスチックなど、柔らかい素材が使われているところは、この値を参考にします
  • 1.8T系列・・・自動車などで特殊鋼のネジが使われているところは、この値を参考にします
  • 2.4T系列・・・自動車・建設などで特殊鋼のネジ(高力ボルト・ハイテンションボルト)で摩擦接合するところなどは、この値を参考にします

摩擦接合では、頑丈なボルトでガッチリ締めて部材同士を摩擦の力のみでつなぎ合わせます。ボルトが折れたりボルト穴が拡がったりするような力が働かない接合方法です。

一方、より少ないトルクで締めて、摩擦面が滑ったらボルトがボルト穴に引っかかって状態を維持すればよいと設計することもできます。このような接合方法は支圧接合といいます

自動車の場合、だいたいどの T系列 を使えばいいのかな?

信頼性や耐久性が要求されるエンジンや駆動系の部品、足回りや懸架には特殊鋼が使われるそうなので 1.8T系列 や 2.4T系列 の可能性があると思う

アルミ素材のところは 0.5T系列、それ以外は T系列が目安になりそう

ネジが使われる場所によって推測する必要があるんですね

特に、特殊鋼でない場所で 1.8T系列 や 2.4T系列 でガッツリ締めちゃうとネジ山つぶれちゃうので気を付けてくださいね

自動車関係は詳しい人がいっぱいいるので、ネットで下調べしておくといいですね


T系列とは

ところで「T系列」って何なのかな?

トルク機器大手の東日製作所さんが、ネジに応じた標準的な締付トルク値を具体的に示してくれたものみたいです

JIS 規格とかと違うんですか?

JIS 規格にはトルク値の計算について詳細な規定があるけれど、ネジしめる前に、毎回それを見ながら条件を決めて難解な計算っていうのはちょっと現実的じゃないかも

「理屈はともかくこのネジ、大体いくつで締めればええの?」っていう疑問に、ズバっと答えてくれるのが T系列 ってことですね

ネジとネジを受ける側の素材に注意

締付トルクって、ネジの太さだけじゃなく、ネジの素材が重要なんですよね

うん。それとネジを受ける側の素材にも注意ですね

ネジとネジを受ける側の素材が違うときは?

基本、柔らかい素材のほうに合わせます

ネジを受ける側がアルミだったら、ステンレスのネジを使ったとしてもアルミの締付トルクを参考にするってこと?

うん、そうしないとアルミの方のネジ山がつぶれちゃうかも

T系列 は締付トルクの目安

もっとも信頼できる締付トルクは、設計者がいろんな条件を検討した上で計算したもので、自動車なら整備書に記載されています

純正部品を、整備書指定のトルク値で締めれば一番間違いがないんですね

うん。そういった正式な締付トルク値がわからないボルトについては T系列 が目安になります

T系列 を参考にするときは、トルク値の過不足を考慮して様子を見ながら慎重に作業がいいですね

T系列で締付トルクを予想してみる

実際に T系列 で締付トルクを予想してみたいです。たとえばダイハツのコペン(LA400K)、ホイールのボルト(ハブボルト)の直径は 12mm だそうです

摩擦接合でがっちり締めてあるとすると 2.4T系列 M12 で、表を見ると 100Nm くらいの予想

新型コペンの取扱説明書に 103Nm って書いてあったので大体合ってるっぽいです

そういえばオイルのドレンボルトも 12mm なんですがこっちは?

最近のエンジンのオイルパンはアルミ製が多いとのこと。なのでこちらは 0.5T系列 として、表をみると 21Nm くらいが目安かも

ネットで、せいぜい 24Nm くらいで気を付けて締めないとネジ山をつぶしちゃうって見たので、目安としては結構妥当かも